ボジョレー・ヌーボーになぜ解禁日があるのか?

                                                    <p>日本は日付が変わって、世界で最初にボジョレー・ヌーボー楽しめるとあって、昔から人気もありますが、なぜ、そのような人気が出たのでしょう?他のワインも新酒があるのに、なぜ、ボジョレー・ヌーボーなのでしょうか。そして解禁日というのは一体、なんのためにあるのでしょうか、そんな疑問を様々な補足事項とともに、ご説明いたします。<br></p><p><br></p><p>【ボジョレーの気候】</p><p>毎年11月第3木曜日に解禁日が決まっているボジョレー・ヌーボーは、フランスのボジョレー地区で栽培されてい

ます。ボジョレーという場所はフランスの中央からやや東よりにあって、ブルゴーニュという細長い地区の一番下にボジョレーという場所があります。平均気温 は11.5℃、ややヒンヤリとした印象ですね。ただ最近は温暖化により、気温があがって、雨も少なくなってきます。


意外にも、そういう異常気象条件がワインの出来を良くしたりします。ですから、「今年の出来が良い」というのは、今年も異常気象だったということにもつながります。例年並み、そうそう「並み」というのが、一番いいんじゃないでしょうか?(^^)
ワインというのは、元をたどれば農産物ですから、日本でもたくさん葡萄農家はありますが、自然に左右されるなかなか難しいものであり、当たり前のように頂いてはいけませんね(^
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ボジョレーの葡萄】

さ て、ボジョレーヌーボーは、ガメイ種という葡萄を100%使用します。ヌーボーというのは新酒の意味ですが、新酒じゃなくてもガメイ種を使うボジョレーの ワインは、フレッシュで軽めでとても人気があります。フランスは、日本と違ってワイン造りの法律による規制が厳しいです。ですから松阪牛に定義があるよう に(これは法律じゃないけど)、ボジョレーヌーボーにも定義があります。まあ、詳しいことは省きますが、少しだけ。たとえば、お酒の商品名。日本酒なら、 いろんな名前がありますが、ワインの場合、同じくいろんな名前があります。しかし、ボジョレーがあるブルゴーニュ地区では、その地区名や村名をワインの名 前にします。そして、その地区名や村名を商品名として販売できるのには、ボジョレーの場合、赤はガメイ、白はシャルドネという葡萄を使用しなくてはいけま せん。でも、ボジョレーは99%が赤ワインの生産地ですから、めったに白ワインは流通してないですね。だからボジョレーヌーボーは赤ですが、同じ日程で、 白も欲しいという人のために、ちょっと地区が違いますが、マコンビラージュ・ヌーボーが良く売られます。これは白ワインですがボジョレーヌーボーの白では ないですからね(^^)


【なぜ解禁日が?】

ヌーボーは、通常のワインの醸造法ではなく、葡萄の果実 と皮と種を炭酸ガスに浸して1週間ぐらいで作ってしまう熟成させないワインです。ゆっくりと皮と種の成分がしみ込む通常の製法と違い、一気に皮と種の色が つくので、色のわりには渋みが少なく、ベリーや花の香りがする赤ワインとなります。このように、あっという間にできてしまう製法なので、フランスでは、葡 萄ができれば、すぐに新酒を売ることもできるわけです。当然、「新酒だよ〜」といって、市場に出れば、「お、新酒か!」といって売れるわけで、先に市場に 出せば、先に売れるため、早く儲かるというわけです。


日本でも新米が出れば、「おお、新米か!」ということ になるのと、同じ感覚でしょう。しかし、ヌーボーは、そんな状況の中で、市場に出るスピードだけが追求され、ワインそのものの品質が粗悪な商品が出回るよ うになり、ボジョレーでは、解禁日を第三木曜日にするから、それまでワインを売るなと決めたわけです。そうすれば、すべての農家、醸造者に同じ条件が課せ られるわけで、スピードから品質重視となったわけです。


ヌーボーは、地域や生産者によっては、プリムールという同じ 新酒という意味の言葉を用いる場合もあります。ボジョレーヌーボーは、もともと新酒ということでは、フランスで人気がありましたが、ジョルジュ・デュブッ フという人が日本に営業したのがきっかけに日本ではフランスとは違った形で、イベント的に広まったという説もあります。バレンタインやハロウィンと同じ感 覚でしょう。


ジョルジュ・デュブッフのワインはそのまま、商品の名前としてサントリーが販売しており有名です。船便 でなく航空便で輸入されるヌーボーは、日本では、比較的値段の高いワインというイメージがあります。またボジョレー以外の地区や、フランス以外の国では、 新酒により解禁日を設けていたり、設けていなかったり、その辺は人気の度合いが影響してると言えるでしょう。新酒でなく通常に流通しているワインは船便が 多く、その分コストが安くなっています。ボジョレーヌーボーも例外でなく、あえて船便で輸入して1ヶ月遅れで販売しているお店があれば、安く買えてラッ キーです。しかし、最近では航空便の輸送代を削減するために、ペットボトルが使われているものもあり、できるだけ安く販売できるよう、いろいろ工夫されて います。

ただ、値段は輸送代や円安、円高だけで、どうのこうのではなく、葡萄の品質、醸造方法、手間、場所などによっても違ってきます。高いのも安いのもそれなりの理由があり、味もボジョレーヌーボーがすべて似た味ではなく、微妙にすべて違うのです。


ま あ、特殊な製法で作られる、ボジョレー・ヌーボーは、1年に1回のこの時期しか飲めない味わいのワインで、来年は同じワインが飲めないとなると、やはり、 飲まずにいられないワインファンも多いと思います。もちろん、嗜好品なので、好き嫌いは人によりますよね。でも、先にも書きましたが、同じボジョレー・ ヌーボーでも、醸造者によって随分、味が違いますので、飲み比べられるイベントに参加できれば、とてもラッキーですが、アルコール度数は、変わらないの で、つぶれて、もう何を飲んでも同じにならないように気をつけてくださいね。



【表記の統一はない】

ま たボジョレー・ヌーボーボージョレ・ヌーボーボジョレ・ヌーボーボージョレヌーボーとか、様々な表記がありますが、これは、マスコミなどで放送する 時、新聞に載せる時などで、各社でそれぞれ表記を決めているようです。またコンビニなどもそろぞれの会社で表記を決めているので、その書き方は、ローソン の商品、その書き方はセブンイレブンの商品という、ことになってしまうので、色々と活字にする時は、各社によって、表記を変えているようです。テレビやラ ジオは、統一しているように思いますが、アナウンサーの発音と、画面のテロップが違うということもあったりします。


ボジョレーヌーボーボジョレービラージュヌーボー】

ボジョレーヌーボーは、ボジョレー地区の中でも特定の村名の葡萄だけをブレンドしたビラージュ・ヌーボーと、ボジョレー地区全体の葡萄をブレンドしたヌーボーの2種類があります。飲み比べてみるのも楽しいですね。

また醸造者によって、全く味が違いますので、気に入ったら、毎年同じ銘柄を注文するというのもいいと思います。


な お、ヌーボーは先の説明のように醸造方法が違うので、熟成向きのワインではなく、そのフレッシュさ、いあわゆる賞味期限は半年と言われています。しかし、 5〜6年前ヌーボーが美味しく飲めないかというとそんなことはなく、新酒当初の香りこそ飛んではいますが、おいしく飲めます。しかし、熟成による味の変化 はありません。


本来熟成出来る要素というのは、黒葡萄に含まれる種と皮に含まれる成分が多いほど、熟成に耐えられま す、もちろん種と皮から成分が大量にでているワインは、すぐ飲むと渋すぎます。しかし、熟成させることにより、その渋みがまろやかになり、また化学反応で 香りも増し、とてもおいしいワインとなります。その手間と醸造方法により、10年熟成が適当なのか、30年熟成が適当なのかは違ってきます。


ですから、ヌーボーは早く飲みましょう。でも、別に解禁日当日の午前0時に飲む必要はないと思います(^^)

ワインは11月にすでに空輸されて販売店にすでに準備されているものなので、質的に安定しています。体調さえよければおいしく飲めると思います。


も ちろん、ボジョレー地区では新酒だけ販売しているわけではありません。ちゃんと熟成ワインも出しています。それは単に「ボジョレー」と表記されます。比較 的若いワインが多いとは思います。ですから、ボジョレーとボジョレーヌーボーとは違います。私のような理屈っぽい酒屋がもしあって、「ボジョレーくださ い」というと、新酒じゃないのを販売したりする場合もあります(^^)


あと、ヌーボーは、みんなボジョレーと思っている人もいますが、ボジョレーのヌーボーには「ボジョレー」の名前がついています。ついていないということは、他の地区、他の国のワインということになります。

マコンビラージュヌーボーなんかも、そうですね。これ、ボジョレーとは全く関係ないです。まず、ボジョレーではほとんどない白ワインですし、マコンは、ボジョレーよりも北のマコン地区という別の地域になります。さっきもでてきましたね。すいません何回も(^^)


ボジョレーにこだわらなければ、解禁日のないところの新酒もありますので、そうすると、早く新酒が飲めます。新酒は単に、ワインをつくって、早く売る「一番搾り」ではなく、全く別の製法でつくる別のワインですので、ぜひ、その毎年違うワインの味わいを楽しんでください。