白人や黒人の「肌の違い」はどうして発生したの?(付録・ネアンデルタール人の混血に関する最新情報)

                                                    <p><span></span><h2>白人や黒人はどうして発生したの?<br></h2><span></span><span><span><p><span>白人や黒人の肌の色は、どのような過程で</span><span>発生したのでしょうか?</span><span></span></p><p><span>これに関しての説は色々ありますが、近年の研究によって多くの事実が明らかになっています。</span><span></span></p><p><span>知恵袋では主にヒトカテゴリーにおいて、上記の質問が頻発する為、このたび知恵ノートとしてまとめることにしました。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>なお当該知恵ノートでは、便宜上「白人・黒人」という表記を用います。</span><span></span></p><p><span>人類学上の常識では「クライン」といって、本来的にホモ・サピエンスの中で形質的な差はないといわれています。</span></p><p><span><br></span></p><p><span><br></span></p><p><span>以下はこれに関連した回答です、参考までに。</span></p><p><span><br></span></p><p><span>・民族ってどうやって決まるのでしょうか?</span></p><p><span>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10139580655;_ylt=A7dP5XA6t5hUBnoAZII8Aeh7</span></p><p><span></span><span><br></span></p><p><span><br></span></p><p><span>しかし厳密な呼称を使うと、恐らく本来の目的である「質問してくる人々」に伝わりにくい可能性が高いと判断し、上記のような呼称とタイトルにしています。</span><span></span></p><p><span>ご了承ください。</span><span></span></p><!--EndFragment--></span><p><br></p><p><span></span><span><br></span></p><p><span>白人の形質が生まれた経緯は、諸説あるものの以下のような過程を経て発生した可能性が指摘されています。</span><span></span></p><p><span>以下は<font>NHK</font><font>スペシャルであった</font></span><span>、</span><span>『病の起源』という番組で紹介された内容</span><span>を中心に回答しています</span><span>。</span><span></span></p><p><span>※肌以外の部分は参考文献から引用しています。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>↓<font>本にもなっているので一読されるといいかもです。</font></span><span></span></p><p><span>『病の起源&nbsp;睡眠時無呼吸症・骨と皮膚の病・腰痛』<font>NHK</font><font>出版、</font><font>2009</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>・なぜ白人が生まれたか?</span><span></span></p><p><span>ヒト</span><span>(ホモ・サピエンス)は約</span><span>16<font>万年前に</font></span><span>アフリカで生まれたといいます。</span><span></span></p><p><span>やがて</span><span>6万年前</span><span>頃から</span><span>アフリカを出発し、</span><span>全世界に拡散し始めたといいます。</span><span></span></p><p><span>最初ヒトの</span><span>肌は褐色(<font>≒</font><font>黒人)で</font></span><span>、</span><span>次のような流れで欧州に到達したと考えられています。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>①<font>ホモ・サピエンスがアフリカを出るのは約6万年前。この時の肌色は褐色。</font></span><span></span></p><p><span>②<font>アラビア半島で移動ルートは、北と東の二手に分かれる。</font></span><span></span></p><p><span>③<font>東に向かったルートではインドシナ半島を経て1~2万年後(つまり5~4万年前)にはオーストラリアに到達、移動は1万5千キロに及ぶ。</font></span><span></span></p><p><span>④<font>一方、北に向かったルート(欧州方面)は、6千キロ移動するのに2万年かかった。適応するのに時間がかかったらしい。そしてこの環境適応のために、東ルートよりもはるかに緩慢な移動となったとされる。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>人々は徐々に北方、欧州方面にも進出するんですが、高緯度地域は紫外線量が弱く、褐色の肌が紫外線を遮ってしまい、肌が生成するビタミン<font>D</font><font>が欠乏してしまいます。</font></span><span></span></p><p><span>そしてビタミン<font>D</font><font>不足から「くる病」を発症し、死亡率が上がった結果、肌の白い人々が自然に残って褐色の肌の人は淘汰されていきます。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>今日でも英国にいるインド系・黒人系住民の間で「くる病」が頻発し、社会問題になっているそうです。</span><span></span></p><p><span>褐色の皮膚を持つため北欧の弱い紫外線量に対応できず、逆にその吸収を阻害してしまい、ビタミン<font>D</font><font>生成が上手くできないからと考えられています。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>ともあれ、こうした肌の変化を伴いながら北上していったヒト集団が、今日の白人と呼ばれる人々と考えられています。</span><span></span></p><p><span>番組ではアメリカであった研究として紹介されますが、地球各地の紫外線量をグラフ化し、その地域に住む人々の肌の色のグラデーションと対比した結果、その比率に強い相関性が認められたそうです。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>なお、白人に青い目が多いのは、緯度の高い欧州の光量が少ないのを補うためです。</span><span></span></p><p><span>光の吸収を少しでも増やす目的で色素が薄くなった結果、青い目に見えるといいます。</span><span></span></p><p><span>彼らがサングラスを多用するのは、光が強い地域だと眩しすぎて良く見えないからなのです。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>俗に言うブロンドの髪も、日光をより多く浴びようとした結果だと思われます。</span><span></span></p><p><span>余談ですが、欧州のヒトは男女とも下着を付けない人が多いです。</span><span></span></p><p><span>日光浴も含め、より多くのビタミン<font>D</font><font>を生成する為に考え出された生活の知恵と言われます。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>・黒人の生まれた背景</span><span></span></p><p><span>肌の色が</span><span>黒</span><span>い人</span><span>は</span><span>、</span><span>アフリカに残った集団のほか、</span><span>豪州のアボリジニーなどでも見られます。</span><span></span></p><p><span>直射日光が強いと肌の色を濃くしないと皮膚がんが頻発するのです。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>実際、豪州では白人における皮膚がんが死亡率の上位を占めており、逆に肌の色が濃いアボリジニーでは殆ど起こっていません。</span><span></span></p><p><span>これも肌を守ることで自然に色の黒い人が残っていったことを示すのだと考えられています。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>彼らの髪がチリチリの天然パーマに見えるのは、毛の表面積を増やすことで頭(脳)に強い光が当たることで起きる熱量を少しでも和らげようという目的があります。</span><span></span></p><p><span>これも自然淘汰的に増えた形質といえます。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>・黄色人種は?</span><span></span></p><p><span>なお、黄色人種と呼ばれる人々はこの中間です。</span><span></span></p><p><span>アラスカのイヌイットは北方にすんでいますが肌は白くありません。</span><span></span></p><p><span>それはビタミン</span><span>D<font>の供給を海獣(アザラシなど)の生肉を直接摂取することによって補っていたからだといいます。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>今、アメリカなどの影響で食文化が変わった結果、かつてのように海獣を生で食べないのでビタミン<font>D</font><font>が不足し「くる病」がイヌイット社会で深刻な問題になっているそうです。</font></span><span></span></p><p><span>彼らは氷河期の終わり頃のごく短い期間にベーリング海を横断し、南北米大陸へと進出しています。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>此の為、南米・北米大陸の先住民は多くが黄色人種になっています。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span><参考文献></span><span></span></p><p><span>J.M.<font>ロバーツ『世界の歴史~「歴史の始まり」と古代文明』創元社、</font><font>2002</font></span><span><br></span><span>三井誠『人類進化の<font>700</font><font>万年』講談社現代新書、</font><font>2005</font></span><span></span></p><p><span>『病の起源&nbsp;睡眠時無呼吸症・骨と皮膚の病・腰痛』<font>NHK</font><font>出版、</font><font>2009</font></span><span></span></p><p><span>小野昭『ネアンデルタール人</span><span>&nbsp;</span><span>奇跡の再発見』朝日新聞出版、</span><span>2012</span><span></span></p><p><span>Clive&nbsp;Finlayson<font>・近藤修『そして最後にヒトが残った』白揚社、</font><font>2013</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p></p><span><p><br></p><p>【 追 記 】&nbsp;</p><p><span>ちなみにネアンデルタール人の遺伝情報が1~4%含まれていた点を元に、白人の形質がホモサピエンスに受け継がれていた、という説が存在します。</span></p></span></span><p><span><br></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span><参考リンク></span><span></span></p><p><span>ScienceNewsline<font>・</font></span><span>ネアンデルタール人は初期人類と異種交配が行われていた</span><span></span></p><p><span><span>http://www.sciencenewsline.jp/articles/2013121820370017.html</span></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>こだわりアカデミー・</span><span>ミトコンドリアDNAで探る人類のルーツ</span><span></span></p><p><span><span>http://www.athome-academy.jp/archive/culture/0000001052_all.html</span></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span><br></span></p><p><span>この点に関して、参考文献にある小野<font>2012</font><font>および</font></span><span>Clive&nbsp;Finlayson2013<font>を参照してみましたが、いずれも「遺伝情報から考えてネアンデルタール人とホモサピエンスの交配があった可能性は低い」と著述されています。</font></span><span></span></p><p><span>※<font>Clive&nbsp;Finlayson</font><font>氏はネアンデルタール人研究の第一人者</font></span></p><p><span></span><span><br></span></p><p><span>小野<font>2012</font><font>・</font><font>P114</font></span><span></span></p><p><span>…世界各地でネアンデルタール人(旧人)とホモ・サピエンス(新人)の人骨で<font>DNA</font><font>の分析が試みられたが、いずれも基本的にネアンデルタール人が現生人類のミトコンドリア</font><font>DNA</font><font>に寄与しなかったことを示唆する結果となった。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>Clive&nbsp;Finlayson2013<font>・</font><font>P192</font></span><span></span></p><p><span>考古学的な証拠が見つからないとすれば、遺伝学的な証拠はどうだろうか?今では、ネアンデルタール人の骨から<font>DNA</font><font>を抽出することに成功したことで、異種交配の謎の解明に向け新たな道がひらかれている。だがこれまでのところ、遺伝的交流があった可能性は完全に排除できないものの、結果はかなり否定的だ。ネアンデルタール人の遺伝子からは双方が交配していたことはうかがえないのだ。(中略)まとめると、私たちがもっているネアンデルタール人と現生人類についての考古学的、遺伝学的知識と、世界各地へまばらに広がった人類集団の生態学的背景を考え合わせるならば、双方のあいだに重大な遺伝子混合はなかったようだ。</font></span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>2014<font>年秋、小生がある自然人類学の先生に直接お聞きした内容を要約してみました。</font></span><span></span></p><p><span>※出所は間違いありませんし、要約なのですが許可を得ていないので名前は伏せます。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>これまでは否定的だったネアンデルタール人との混血は、限定的ながらあったという説が主流になっていることは間違いなさそうです。</span><span></span></p><p><span>&nbsp;</span></p><p><span>【</span><span>&nbsp;</span><span>要</span><span>&nbsp;</span><span>約</span><span>&nbsp;</span><span>文</span><span>&nbsp;</span><span>】</span><span></span></p><p><span>・<font>2010</font><font>年にネアンデルタール人の核ゲノムが解析され、現代人との間に混血があった可能性が示唆され始めた</font></span><span></span></p><p><span>・それまではミトコンドリアDNAの分析結果から、混血の可能性は薄いと考えられていた</span><span></span></p><p><span>・核ゲノムの結果が示されたことで、混血を仮定する研究者が多くなっている</span><span></span></p><p><span>・ただし、現代人に伝わっているネアンデルタールもしくはデニソワ人のゲノムは、それほど多くない</span><span></span></p><p><span>・よって混血は限定的なものであったと考えられている</span><span></span></p><p><span>・一般に種の定義は、交雑が不能な関係を前提とするため、この定義を厳密に適応すると、現生人類とネアンデルタール人は同種になってしまう</span><span></span></p><p><span>・なので従来の研究の蓄積や人類の進化を考えるために数十万年に渡って、ほとんど混血しなかった生物同士を同種と考えるのは適当ではない</span><span></span></p><p><span>・両者を現時点でも交配可能な別種という見方をしている</span></p><p><span><br></span></p><p><span><br></span></p><span><p><span><br></span></p></span><p><span>お疲れさまでした。</span><span></span></p><p><span>↓少しでもお役に立ったようでしたら</span><span>「ナイス!」</span><span>にクリックお願いします。</span><span></span></p><p><!--EndFragment--><br></p><!--EndFragment-->



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